Social Impact Act

2016年11月13日

世界の主要な社会的インパクト投資機関の一覧

最終更新: 2020年10月16日

インパクト投資関連機関

今後何回かに分けて、世界のインパクト投資関連機関について、紹介していきます。

全体像は、「Accelerating Impact Achievements, Challenges and What’s Next in Building the Impact Investing Industry」※1より引用。

また、SIAでは別途、世界の主要プレイヤーをデータベース化しています。そちらも合わせて参照ください。

目次

社会的投資の主要プレイヤー~アジア編~

【第1話】世界の主要な社会的インパクト投資機関の一覧【本記事】

・INPACT INVESTMENT EXCHANGE ASIA:シンガポール

【第2話】アジアを代表するソーシャルインパクト投資機関

・TECHNOSERVE:インド
 
・Social Enterprise Finance Australia (SEFA):オーストラリア
 
・Social Investors Club:香港

【第3話】アジアや発展途上国で活躍する社会的投資機関

・intellecap:インド

・cKinetics:インド

INPACT INVESTMENT EXCHANGE ASIA : シンガポール

トップバッターは、INPACT INVESTMENT EXCHANGE です。

INPACT INVESTMENT EXCHANGE ASIAは、2009年のサブプライムローンやリーマンショックなどの社会背景もあり、2010年に設立されました。

設立者のDurreen Shahnazさんは、バングラディシュとフィリピンで育ち、ウォール街のインベストメントバンカーとして初のバングラディシュ女性です。
 

 
ビジネスや金融が発展途上国の開発に及ぼす影響の大きさからグラミン銀行などで職歴を積んだのち、INPACT INVESTMENT EXCHANGE ASIAを設立。

INPACT INVESTMENT EXCHANGE ASIAが提供する、「IIX Women’s Livelihood Bond」は、2016年には、2000万ドルに及び、50万人もの東南アジアの女性に便益を提供するまで成長しています。

また、「Impact Academy」という、社会的投資を行うための、第一ステップを踏むための講義やセミナーなども継続的に開催するとともに、「Impact Exchange」という、ソーシャルインパクトの為の、私募ではなく、公開の株式取引市場を世界に先駆けて企画しています。


Impact Exchange is the world’s first public trading platform dedicated to connecting Impact Enterprises with mission-aligned investment. Impact Exchange provides a unique opportunity for Impact Enterprises to deepen their impact by raising capital while offering investors the opportunity to invest in and trade securities that reflect their values. ※2


社会的投資の領域としては、大きな影響力を持つ機関ですが、直近では、活動の幅をアフガニスタンにも広げるなど、インパクト投資を推進に注力しています。
 

 

ソーシャルインパクト投資が注目される背景

少し話題が変わりますが、 インパクト投資が注目される背景としては、サブプライムローン問題やリーマンショックなどの反省もありますが、従来型の寄付の問題点や課題も明らかになってきたことも影響していると考えられます。

善意の寄付だけでは、世界のかかえる諸課題の解決に取り組むだけの資金規模に達することはない一方で、ビジ ネスの原則や手法を取り入れることにより、イノベーションやスケールアップを図ることができると認識されてきたという背景があります※3


 

従来型の援助の問題点

『ポバティー・インク 〜あなたの寄付の不都合な真実〜』という映画をご存知でしょうか、援助に関わっている、もしくは関わろうとしている方には是非、見てもらいたい映画です。

映画では、特にハイチなど発展途上国の例が取り上げられています。ハイチは2010年に大地震に襲われ、人口の約3分の1の300万人が被災したと言われており、米国を中心として、世界中からたくさんの支援が寄せられたことで有名です。

本作では、「緊急援助」と「継続的な援助」を切り分けて取材しています。「緊急援助」については、現地の住民にとっても非常に有益なものだったとしている一方で、その後の「継続的援助」が及ぼす影響についてもスポットを当てて取材されています。

事例としては、ハイチの「米農家」と「太陽光パネル事業」の例等々が紹介されています。

・ハイチでは緊急援助後も3年以上、アメリカから大量の米が届き続け、結果無料の米が大量に市場に出回るため、地元の米が売れなくなり、多くの農家の職がなくなってしまった。

・ハイチの太陽光パネル開発のベンチャー企業も、電力不足対策として、無償の太陽光パネルを前に事業継続が困難に陥った。

・その他、靴を一足購入するごとに途上国に一足贈るトムスシューズや、国際養子縁組やアメリカの農業補助金などについて。

20ヶ国で200人以上に行なったインタビューなどを通し、善意の援助の結果、及ぼす影響を考えさせられると同時に、援助の課題や支援のあり方について問いかけています。

また、発展途上国のミッシングミドル(零細企業が中小企業に育たず、中間層が育たない)の問題なども取り上げられており、ソーシャルインパクト投資を始めとした、援助ではない、発展途上国との関わり方についても、一つの視点を投げかけてくれる作品となっています。

発展途上国の開発経済領域についても、今後も取り上げていきます。

参考URL

※1 https://www.rockefellerfoundation.org/app/uploads/Accelerating-Impact-Full-Summary.pdf

※2 http://www.asiaiix.com/what-we-do/
 
※3 https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/h27wg-impact-hyouka-3-9.pdf

※4https://thegiin.org/assets/documents/Impact%20Investments%20an%20Emerging%20Asset%20Class2.pdf

#ソーシャルインパクト投資 #シンガポール #ソーシャルインパクト #ソーシャルファイナンス