Social Impact Act

2020年1月6日

ESGの「S」の対応を検討している場合

最終更新: 2020年10月16日

機関投資家も企業も「G」がほとんど?

GPIFや政府の後押しもあり、注目が高まる「ESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))」。
 

 
ただ、実際の実務レベルでは、例えば機関投資家とのコミュニケーションの中においても、先方から「S」を積極的に求めらる声はまばらでしょう。
 

 
とはいえ、先進的な企業において、「環境」や「ガバナンス」についてはまだしも、S(社会(Social))の部分の対応方法は多くの企業が模索しているのではないでしょうか?
 

 
担当者を困らせる理由の一つは、多様な文脈を持った組織が、多様なフレームワークを発表してることがあります。
 

 
例えば、 国際ワーカーズキャピタル委員会(the Global Unions Committee on Workers’ Capital: CWC) は、「Guidelines for the Evaluation of Workers’ Human Rights and Labour Standards」を掲げています。
 

 
1.組織構成(Workforce composition)
 
2.社会対話(Social Dialogue)
 
3.労働力(Workforce participation)
 
4.サプライチェーン(Supply chain)
 
5.労働安全衛生(Occupational Health and Safety)
 
6.給与水準(Pay Levels)
 
7.苦情処理メカニズム(Grievance Mechanisms)
 
8.人材開発(Training and Development
 
9.ダイバーシティ(Workplace diversity)
 
10.年金掛金(Pension fund contributions for employees)
 

 
そして、CSRなどでは参照している企業も多いGRIは、「S」については、以下の項目などを掲げています。
 

 
①雇用や労使関係
 
「雇用」 「労使関係」「労働安全衛生」「研修と教育」「ダイバーシティと機会均等」
 
②サプライチェーンや人権リスク
 
「非差別」「結社の自由と団体交渉」「児童労働」「強制労働」「保安慣行」「先住民族の権利」「人権アセスメント」
 
③製品責任や消費者課題
 
「顧客の安全衛生」「マーケティングとラベリング」「顧客プライバシー」「社会経済面のコンプライアンス」
 
④地域社会との関わり
 
「地域コミュニティ」
 
⑤公正な事業慣行やコンプライアンス
 
「調達慣行」「腐敗防止」


 
つまり、企業側も機関投資家側も”確立した”評価手法を持ち合わせているわけではありません。そのため、各ESG評価機関がそれぞれのプライオリティーにおいて評価などを実施しています。
 

 
ちなみに、その手のインデックスでは、日本においても世界的にも「Dow Jones Sustainability Induces」が最も参照されることが多いです。中期経営計画などは仕事柄各社のものをモニタリングしていますが、サステナブルのインデックスで参照されているものは、「Dow Jones Sustainability Induces」が多いです。
 

結局企業としては何をすべきか?

もしもゼロから対策を考えているのであれば、指標や対策の網羅性を求めることは推薦しません。むしろ何がそれぞれのビジネスにおいて重要なのかを見極めるプロセスを置くことをおすすめします。
 

 
例えば、人権などについても「先住民の権利」などは、そもそもそうした方と広くかかわりうる商社などと、関わりが薄い企業とでは、重点が変わることは当たり前のことです。また、単に「残業時間」や「女性管理職」の数が高ければいい会社ではないことは勤めたことがある人であれば当然、共通認識もてることかと思います。
 

 
あなたの企業における重要な「社会(Social)」とは何か?
 
是非検討してみてはいかがでしょうか?
 

 
別途、ブティックファームのKI Strategy Inc.でも、「S」の整理やKPIの支援なども実施していますので、ご関心をお持ちの方はお気軽にお問合せください。