Social Impact Act

2023年8月9日

PBR一倍割れ対策とサステナビリティーとESG経営

東京証券取引所が「資本コストや株価を意識した 経営の実現に向けた対応について」の要請を発表しました。
 

 
俗にいう「PBR一倍割れ」企業に対して、しっかりと対策するように要請したもので、プライム企業だけでなく、スタンダード市場含めた、全上場企業を対象としたものです。
 

 
具体的には、
 
・自社の資本コストや資本収益性を的確に把握
 
・取締役会で分析・評価を行った上で、年一回以上、アクションの進捗内容や開示情報のアップデートを実施し
 
・投資家への明瞭な説明などを求めるものです

そもそもPBRとは、「Price Book-value Ratio」の略で、株価が1株当たり純資産(BPS:Book-value Per Share)の何倍まで買われているかを見る投資尺度の一つです
 

 
・株価/一株あたりの純資産
 
で求めることが出来ますが、PBRを1倍を割れているということは、理論的には、解散し、株主に資産を返した方がいいという評価を受けているということになります
 

 

 
また、関連する用語にPERやROEなどもありますが、そちらとPBRの関係性は下記となります。

つまりPBRを上げるためには、稼ぐ力と、資本効率の向上によって、達成されることが、数式上は証明されます。
 

 
例えば、PBRの向上を目指した、資産の部分を減らすための、自社株買いや積極投資などもその手法の一つです。
 

 

 
ただ、PBR=PER×ROEで導きだされるだけであって、PERは15倍の企業もあれば、30倍の企業もあります。
 

 
その差は、本質的には、成長仮説を見出し、今後も成長していくだろうという期待や、PL・BS外の資本も株価にも影響を与えます。
 

 

 
YANAGIモデルでは、純資産(財務資本)と時価総額の差分を、市場付加価値(非財務資本)と分類しています。
 

 
市場付加価値(非財務資本)には、知的資本や最近よく聞く人的資本や自然資本も含まれることとなります。
 

 
つまり、IR領域や経営戦略において、もちろん現在の純資産との比較での対策も重要となりますが、今後の期待値や、ESG領域への対応も「PBR一倍割れ」対策の処方箋としても注目を集めています。
 

 
いわゆるなんちゃってCSRやSDGsではなく、企業の成長の前提として、また成長仮説の一つの方針としてのESGについても、「PBR一倍割れ」対策を推進されている場合においては、検討してみてはいかがでしょうか?