Social Impact Act

2019年7月29日

グリーンボンドを進化させソーシャルPJへ資金流入を増加させるという選択肢

最終更新: 2020年10月16日

SIAの今井です。
 

昨今、ESG投資や、インパクト投資という言葉をよく耳にするようになりました。
 

また、そうした金融機関の動きと歩調を合わせる形で、企業経営の文脈においても、SDGsというキーワードや、ソーシャルインパクトの測定ということがよく議論されます。
 

GSIA “2018 Global Sustainable Investment Review” によると、世界全体のESG投資額は約30兆6,830億米ドル(約3,068兆円)、日本においても 2兆1,800億米ドル (約218兆円)と巨大の資金が投入されています。
 

その一方で、 SDGsの達成には毎年5~7兆米ドルの投資を要し、発展途上国への投資は約2.5兆ドル/年不足するのでは?という試算もあります。
 

そんな中、今回は、株等のエクイティではなく、債券投資による資金調達における、ソーシャル化について紹介します。
 

グリーンボンドと利回りと流動性


 
一般に、環境改善効果のある事業(グリーンプロジェクト)に充当する資金を調達するために発行する債券として「グリーンボンド」があります。
 

また昨今では、いわゆる「環境」改善効果のある事業(グリーンプロジェクト)だけでなく、広く社会課題の解決を意図した(ソーシャルプロジェクト)の展開を、事業計画に盛り込む企業が散見されるようになりました。
 

ただ、グリーンボンドの発行主体からすると、債券の流動性は大きな課題の一つでしょう。
 

一般的にお金に色はありませんので、エクイティなり債券で資金調達するのであれば、流動性が高いマーケットで実施したいのが通常です。
 

なぜなら、参加者が多く流動性が高いマーケットにおいては、売りたいときに売れ、買いたい時に買えるというメリットがあるからです。例えば、上場株式や為替などは流動性の高いマーケットです。
 

そういう意味では、こうした環境や社会に関するプロジェクトにいかに資金を流入させるべきか?という文脈において、債券の発行金利をプロジェクトの性質や意図によりいかに変動させるべきか?という研究や動向は注目すべきポイントの一つです。
 

具体的には、グリーンボンドの発行金利をイシュアにとって安くするなどです。
 

社会的には便益がある一方で、個人では投資がおこりにくい、道路や病院などへの投資は、「フリーライダー問題」とも呼ばれ、公的機関が税金として徴収する正当性の一つの根拠ともなっています。
 

ただ、公的機関の体力低下や、GAFAなどの民間企業の方が、途上国の国家予算を大きく上回るなどの現状は周知の事実でしょう。
 

そうした中、社会的課題の解決や、SDGsなどの民間プロジェクトにいかに資金を流入させ活性化させるべきか?というテーマでは、SIAとしても金融機関や有志を研究会や議論をしていければと思います。
 

引き続き、関連トピックについても折りをみて紹介していきます。

※サステナビリティーやESG・SDGsの企画や導入、ブラッシュアップなどを検討されている方は、ブティックファームのKI Strategy Inc.でも支援を実施しています。お気軽にご連絡ください。


 

#グリーンボンド #ソーシャルボンド