Social Impact Act

2021年12月15日

TCFD周りの現状と課題感について

上場企業を中心にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の対応が進められています。
 

 
いくつかのグループに分けることが出来るかと思います。
 

 
・そもそも対応する予定なし
 
・対応予定だが、現状は未対応
 
・対応したが、意味のない形で実施
 
・対応し、広義の企業価値向上に寄与が見込まれる
 

 
実施されてない企業については、それぞれの会社の方針もあるでしょうし、TCFD対応を進めることで、意義を感じている企業については特筆すべきことはないでしょう。
 

 
今回のテーマは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)を対応したけれども、担当者含めステークホルダーが、これをやる意味あるのか?となってしまっている企業、もしくは、そうならないためには?というトピックを紹介したいと思います。
 

 
かくいう弊社も、実施したけど、見直したく・・・というご相談を多数受けているため、そうした観点からも。


 


 

 
・TCFD開示内容と経営戦略、経営計画、技術開発、事業実態が整合が取れていない
 
こちらは支援実績などからの経験則ですが、サステナビリティー部署などが単独でTCFD対応を実施しようとするした際に、よく起きる傾向にあります。
 

 
TCFDの内容がCSRレポートの一コンテンツの立付となり、他の企業開示(表向きはまだ問題ないように見えても)や、社内では全く浸透されていないや平仄があっていないことがあります。
 

 
ポイントとしては、TCFD対応をサステナビリティー部署などが単独で作成するのではなく、必要な社内外のプレイヤーを集めて実施していくことで、ある程度は避けることが出来るのではないかと思います。
 

 
こちらは、TCFDだけでなく、統合方向など一般についても同じ構図とも言えます。
 

 

 
・「機会」や「リスク」というよりコストに注視
 
TCFDについては、気候変動に伴う、企業の機会とリスクを分析していくことになります。
 
(実務ベースでいうと、相当、リスク・機会分析の部分も科学する必要な領域ではあると思っていますが、そちらは一旦次回以降のテーマとして)
 

 
そもそも、TCFD周りを、
 
会社が賛同してしまったので・・・
 
将来的にはやらなきゃいけないんでしょ・・・
 
というニュアンスで、関係者が認識しているケースも少なからずあるのが現状かと思います
 

 
つまり、企業の今後に向けて、「機会」や「リスク」を建設的に議論していくことが主眼でありながら、実態は、しょうがなく、もしくは、追加のコストを減らすために、という観点でサステナビリティー領域を捉えているケースがあるということです。
 

 
ここら辺は、担当部署からの適切な情報インプットという観点もありますが、意見の多様性としては、TCFD対応そのものに懐疑的な方を巻き込まなければいいということでもないのは難しいところです。


 
ただし、少なくとも今何の議論をしているのか、一旦、こうした前提で議論を進めていくということの合意などを適切にはかっていくことも、大切なエッセンスになってくるかと思います。
 

 
例えば、
 
・どういう時間軸で議論をしているのか?
 
・どのようなスコープで議論しているのか?
 
・どのような前提で議論をしているのか?
 
などなど
 

 
会社によっては、そもそも温暖化しているのか?というような議論から始めている企業もあり(確かにそうした議論も重要だとは思いつつも)、仮定を置いて議論をしないと、時間がいくらあっても足りないと思われるケースもあります。
 


 

 
・TCFDの今後に向けて
 
まず大前提として、TCFD対応にゴールがある訳ではないので、例え、現状、乏しい形になっていたとしても、それを改善していくことが求められます
 

 
こちらのサイトでも対応にあたって、少しでも参考になる情報なども発信していければと考えております
 

 
また、今回はTCFDという気候変動のトピックスですが、サステナビリティー領域は幅広いため、専門家プラットフォーム(Sasla)なども運営しております。
 

 
https://sasla.jp/
 

 
ご関心をお持ちの方はお気軽にご連絡頂ければ幸いです。