『投資家と企業のためのESG読本』
Social Impact Actでは社会的インパクトを意図した企業やその取り組みを紹介してきました。
その企業や取り組みに対して資金を投じる手段の一つがESG投資やインパクト投資と呼ばれるものです。
今回は、ESG投資などを理解するためにのキーワードが紹介されている、『投資家と企業のためのESG読本』という書籍の内容を紹介します。
実際に、ESG投資やインパクト投資などに興味がある方は実際に手に取られてみてはいかがでしょうか?
トリプルボトムダウンとは
英国シンクタンクのサステナビリティ社の創業者、ジョンエルキントン氏が1994年に提唱した概念です。
単に、ボトムラインといえば、通常、財務諸表の損益計算書の最終行、すなわち、当期の決算を意味します。
経済面だけでなく、社会面(人権・社会貢献)、環境面(資源や汚染対策)なども均衡させるべきだというものがトリプルボトムラインです。
この考え方は日本でも広く活用されています。例えば、CSR報告のガイドラインとして活用されているGRI(グローバルレポーティングイニシアティブ)にも継承されています。
スチュワードシップ・コード/コーポレートガバナンス・コードとは
日本版のスチュワードシップ・コードは2014年2月、コーポレートガバナンス・コードは2015年6月に運用が開始されました。
スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードは投資家と企業の行動原則のことです。
投資家から企業への働きかけや両者の対話を通じて企業の成長を促進させることを目的としています。
スチュワード(steward)とは執事、財産管理人の意味を持つ英語です。
イギリスでは、リーマンショックによる金融危機を深刻化させた原因の一つに、機関投資家の短期収益志向等に起因する、金融機関の株主としてのガバナンスが健全に機能しなかったことや、金融機関による投資先企業の経営監視などコーポレート・ガバナンス(企業統治)への取り組みが不十分であったからなのではないかという反省があります。
そこで、「企業の長期的な成功を促進」するために、英国で2010年に金融機関を中心とした機関投資家のあるべき姿を規定した、「英国スチュワードシップ・コード」が2010年7月に策定されました。
日本版のスチュワードシップ・コードは2014年2月に金融庁・有識者検討会が策定しました。
最終的には企業の長期的な成長を目的としいる点は、英国のスチュワードシップ・コードと同様ですが、金融機関自身のガバナンスの問題を端緒とした英国とは動機に違いが見られます。
コーポレートガバナンス・コードもスチュワードシップ・コードと同様に企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的とし、中長期的な目線での投資を促す効果が期待されています。
コードは基本原則・原則・補充原則の合計73の原則が示され、東証1部、2部上場企業はすべてについてそれを実施するか、しない場合はその理由を説明することが求められます。
原則の中には、ESGと関連が深いものも含まれており、ESG投資が注目される背景には、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードも大きく影響しています。
今回は、ESG投資などを理解するためにのキーワードとして、トリプルボトムライン、コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードについて紹介しました。
引き続き、ソーシャルインパクトに関連するキーワードについても紹介していきます。