Social Impact Act
2016年11月17日
最終更新: 2020年10月16日
TICAD Ⅵ フォローアップ・セミナー
2016年11月16日の14:00〜国際連合大学 ウ・タント国際会議場で開催されました。今回はTICAD Ⅵ フォローアップ・セミナーの内容を抜粋して紹介します。
セミナーの資料は後ほど、アフリカビジネス振興サポートネットワークに記載の通り(http://ab-network.jp/1116_seminar)公開される予定となっています。
主 催 :アフリカ開発銀行アジア代表事務所、在京アフリカ外交団(ADC)、UNIDO東京事務所
共 催 :独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JICA)、
株式会社国際協力銀行(JBIC)、世界銀行東京事務所、UNDP駐日事務所
後 援 :外務省、財務省、経済産業省、アフリカ協会、アフリカ開発協会、経済同友会、
アフリカビジネス振興サポートネットワーク(AB-NET)
主催者開会挨拶
〜アフリカ開発銀行アジア代表事務所代表事務所 横山正所長〜
・TICADとは、Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発会議)の略で、アフリカの開発をテーマとする国際会議として、今回、アフリカで初めてナイロビで開催されました。
・アフリカ開発銀行は、各国の政府が株主となる、公的機関で、本部は、コートジボワールのアビジャにあります。
・アフリカ開発銀行は、年間8000億〜9000億程度の投融資を行っており、その内インフラ投資が過半数を締めています。
・アフリカ開発銀行は、「High5」として、アフリカの「電化」「食料増産」「工業化」「地域統合」「生活の質の改善」をメイン領域として、開発をサポートしていきます。
・「High5」の目標は「ナイロビ宣言」の目指すところを共にしており、アフリカ開発銀行としても「ナイロビ宣言」の実現を目指していきます。
主催者・来賓挨拶
〜在京アフリカ外交団(ADC)副団長 Ahmed ARAITA ALI ジブチ大使〜
〜外務省アフリカ部 岡田誠司 参事官〜
・アフリカとしても、日本との、WinWinの関係構築を望んでおり、特に、交通やエネルギーなどの分野で協力でしていきたい。
・TICADⅣは、横浜で開催され参加人数は7000年人ほどでした。今回のTICADⅥでは、200社を超える日本企業が参加し、10000万人以上の参加者と、300億ドルを超えるアフリカへの投資が決まりました。
・「アジェンダ2063」(http://agenda2063.au.int/)についても、日本の官民をあげて押し上げていくとともに、政府としても、積極的にアフリカ向けに良好なビジネス環境の構築を目指していきます。
キーノートスピーチ
〜世界銀行 塚越保祐 駐日特別代表〜
・世界銀行グループは、四つの団体「国際復興開発銀行(IBRD)」「国際開発協会(IDA)」 「国際金融公社(IFC)」「多数国間投資保証機関(MIGA)」 からなりたちます。
・IDAは世界銀行の最貧国向け基金で、その半分以上が、サブサハラアフリカ向けに提供されています。
・MIGAについても、サブサハラアフリカ向けが四割近くを占めるとともに、その割合が伸びてきています。
・世界銀行グループは、インフラ投資をはじめとして、発展途上国のガバナンスや法律の整備に対しても投資を行なっており、また各国の政策のアドバイスも提供しています。
・南アフリカとナイジェリアの二カ国でサブサハラアフリカのGDPの半数を占めています。
現在、サブサハラの成長が鈍化している原因として、南アフリカとナイジェリアの成長がリーマンショックや資源価格下落によって成長が鈍化しているため、サブサハラ全体としての成長としてもより押し下げられて見えます。
・世界銀行としては、アフリカの発展として、特に「農業の生産性向上」「インフラ投資」「人への投資」「リスクへの強靭性」にフォーカスしていく。
・農業効率化については、既に10数億ドル近くの農業支援が行われており、効率的だったかどうかの検証が必要です。今までは、農地の拡大とともに、農業生産が増えてきた、今後は生産性の向上が求められています。例えば、灌漑の普及率はアジアでは36%ですが、アフリカでは、6%程度と言われています。
・今後、アフリカでは、4億人もの人口が、都市部に流入すると言われています、食料の生産性の向上は喫緊の課題です。
キーノートスピーチ
〜経済同友会 小林いずみ 副代表幹事〜
TICADⅥを経済界から見た成果と課題について。
成果
1. 76名の日本人経営者と、産学官の3000人以上の日本人が一同に会し、活動に横串が刺さった点
2. 日本民間企業のアフリカに対する取り組みの可視化がなされ、73ものMOUが結ばれ、ニーズを政治家にも直に伝えることが出来た点
3. 日本とアフリカだけではなく、日本とフランス等、多国間の連携が可能になった点
課題
1. 3年後のTICADⅦまでに、目に見えた成果を残していかなくてはいけない点
2.日本国内としては、アフリカ向けビジネスの組織化やリスクガバナンス整備が必要な点、アフリカとしては、一カ国では、企業から見て、投資の対象としては比較的規模が小さいため、地域経済圏の深化と形成が求められている点
公的機関によるTICAD Ⅵの成果及び民間ビジネス支援スキーム
アフリカ開発銀行アジア代表事務所:横山正 所長
UNIDO東京事務所:国吉浩 所長
UNDP駐日事務所:近藤哲生 駐日代表
JETRO:松村亮 企画部海外地域戦略主幹
JICA:江口英夫 アフリカ部部長
JBIC:朽木隆弘 資源ファイナンス部門鉱物資源部第2ユニット長
モデレーター:白戸圭一
・アフリカは日本からの民間企業の進出が求めており、日本についても、今後、少子高齢化等により、経済が鈍化していくと予想される中で、発展途上国への進出が求められてきています。ただ、実際に、アフリカへの進出では失敗例も数多くあり、どのように課題を乗り越えていけばいいのか、また、その際、国際機関がどのようなサポートを提供できるのか議論していきたい。
アフリカ開発銀行
アフリカ開発銀行では、リスクコントロールという観点から、「インフラ投資(ボトルネック除去)」「ソブリン融資」「民間セクターへの投融資」「ビジネス投資情報の開示や相談」などのサービスを提供しています。
また、「EPSA ローン」「ソブリン協調融資」「ノンソブリン融資」「FAPA グランド」などの金融スキームを用いて、ビジネス展開をサポートしています。
具体的には、「ザンビアのitezh-tezzh 水力発電プロジェクト」「ケニアのトルカナ湖 風力発電プロジェクト」「ルワンダにおける都市給水プロジェクト」等々数多くのプロジェクトがアフリカ開発銀行の金融スキームを用いて実施されています。
アフリカビジネス振興サポートネットワーク(http://ab-network.jp/1116_seminar)も運用しており、アフリカの情報やイベントなどチェックしてもらいたい。
UNIDO
50年間、産業開発を進めてきた実績と、アフリカ現地アドバイザーも複数抱えており、アフリカでのビジネス展開の際には、直に相談を受けることができます。
UNDP
UNDPは冷戦構造の解消に伴い、軍事予算の一部を人間に回していくという背景から「人間の安全保障」を提唱してきました。直近では、SDGs Holistic Innovation Platform (SHIP)という、持続可能な開発目標(SDGs)をビジネス機会とするプレイヤーを繋げる仕組みを構築しました。
JETRO
貿易投資情報としては、アフリカ向けはまだ、2.5%程度しかありませんでしたが、TICADⅥ後伸びています。
また、日本企業の新しい動きとして、下記が挙げられます。
・M&AやJoint Venture案件が増えてきている点
・中小企業の進出が増えている点
・若手の起業家が増えている点
JETROの日本企業支援
・日本企業商品の紹介サポート
・アフリカ7箇所ある事務所を通じ、パートナー企業調査
・貿易投資相談無料
JICA
途上国の開発ニーズと日本の企業の製品・技術のマッチング支援を実施しています。
また、現在、ABEイニにアティブで1000人アフリカ人の留学を受け付けています。
JICAには、アフリカでの広いネットワーク網があり、ビジネスをサポートする体制があります。
JBIC
日本企業の出資やM&Aについてサポートが可能です。
また、アフリカへの輸出ニーズが多く、輸出支援や、「アフリカ輸出入銀行」「東南アフリカ貿易開発銀行」との輸出クレジットラインサービスを提供しています。
民間企業とTICAD アフリカ向けビジネスにおける公的支援スキーム利用の事例
株式会社鳥取再資源化研究所 竹内義章 社長
鳥取再資源化研究所は、ガラス発泡技術をコアとした鳥取の社会的素材メーカー。
廃ガラスビンから、発泡ガラス「ポーラスα」を作成し、水・食料の世界課題の解決に向け、節水型農業の推進活動を行なっています。
モロッコでの実証実験では、50パーセントの節水と20パーセントの増収を実現しています。
また、竹内社長は、アフリカでのビジネスの成功は「6割はコンサルタント選び、3割はカウンターパーティー選び」だと、ご自身の経験から語りました。
今回は、TICAD Ⅵ フォローアップ・セミナーを紹介しました。引き続き、ソーシャルインパクトに関係する情報を紹介していいきます。