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ソーシャルインパクトボンド(SIB)は市民権を得るのか?

最終更新: 2019年7月3日


『ソーシャルインパクト・ボンドとは何か』

今回は、『ソーシャルインパクト・ボンドとは何か』という書籍を紹介します。

ソーシャルインパクトボンドの基本事項や、事例やスキームについて幅広く紹介されている良書です。

広く、ソーシャルファイナンスやSIBに関心を持たれてる方は本屋などで手にとって見てはいかがでしょうか?


ソーシャルインパクトインベストメントは、G8でフォーラムが開催され昨今にわかに注目を集め、本WEBでもトピックの一つとして情報を発信しています。

ただ、日本において、広くソーシャルインパクトインベストメントやソーシャルインパクト・ボンドの知名度は高いとは言えず、今後、ソーシャルインパクト・ボンドの普及が進むのかについては様々な議論があるかと思います。

そもそもソーシャルインパクト・ボンド(SIB)とは

SIBとは、社会状態の改善(社会的価値の創造)に民間投資と官民連携の仕組みを活用して取り組むスキームであり、社会的プログラムの運営費用を公金ではなく、民間調達の投資資金で賄い、事前に設定されたせいか指標を上回るインパクトが達成できれば、政府が投資家に対してリターンを支払う仕組みである。

(略)

一部には、投資の側面、金融商品としての側面を過度に強調する議論も見られる。SIBが投資の仕組みを活用するスキームであることは事実である。しかし、投資の活用は、あくまでもアウトカムベースの公契約の補完として捉えられるべきものであろう。

『ソーシャルインパクト・ボンドとは何か』より引用

ソーシャルインパクト・ボンド(SIB)の現状

ソーシャルインパクト・ボンドは、広義の社会的インパクト投資や、ソーシャルファイナンスの一種としてもみることができます。

ソーシャルインパクト・ボンドが最も普及しているイギリスにおいても、その市場規模は1,400万ポンド(Robinson, 2016:9)程度の規模(約20億円程度)と推定されています。

広くESG投資やSRI、社会的投資などのソーシャルファイナンスと呼ばれる領域においても、金融市場全体に占める割合は非常にごく僅かですが、その中でも、ソーシャルインパクト・ボンドの市場規模はさらに小さいのが現状です。

また、インパクト投資の定義について、本Webでも、2010年のJ.P.モルガン、ロックフェラー財団、GIINの共同レポートの定義を以前紹介しました。

「インパクト投資とは、経済的利益を超えて、プラスのインパクトを創出することを目的としている投資である。(investments intended to create positive impact beyond financial return)」

(J.P. Morgan, the Rockefeller Foundation and the GIIN (2010,Nov))

社会的インパクトを意図・目的した投資活動が実際にインパクトを生むのかは非常に興味深い点です。

『ソーシャルインパクト・ボンドとは何か』の中では、SIBに関わらず、広くソーシャルファイナンスにおけるニコラス氏(2015年)の定義を紹介しています。

意図する、意図せざるにかかわらず、社会的投資資本の供給によってもたらされた対照群の良好な状態に向けた重大な変化であり、仮に投資がなくても生じたであろう変化のレベルを上回って生じた変化である

『ソーシャルインパクト・ボンドとは何か』より引用

ソーシャルファイナンスの学術的な定義は今後も様々な観点から登場してくるのではないかと思います。

ビジネスサイドから考えると、ビジネスは顧客の創出であると言われる通り、ソーシャルファインナンスであれ、社会的インパクト投資であれ、SIBであれ、その商品なりサービスを購入する主体があってはじめて成り立つものです。

顧客となる主体が、投資において経済的リターンと、社会的インパクトのどちらに重点を置くかは、個々の投資家の選好に由来します。

そうした中、経済的リターンだけであれば様々な投資機会があり、社会的インパクトだけであれば、募金や援助などの従来のスキームがあります。

その中間に位置する、インパクト投資とは、経済的利益を超えて、プラスのインパクトを創出することを(意図)目的としている投資とする、J.P.モルガン、ロックフェラー財団、GIINとする定義は、実務面から考えても腹落ちする定義となっているように感じます。

その一方で、「社会的インパクト投資は本当にインパクトを生むのか?」でも紹介した通り、投資が譲許的であるというが、それが純粋な社会的なプラスの影響をもたらすという保証ではなく、アウトカムやインパクトに注目するという観点で確かに意図は関係ないという主張もよくわかります。

例えば、意図する、意図せざるにかかわらず、先進国・途上国における、(モバイル)通信会社への社会的投資資本の供給は、仮に投資がなくても生じたであろう変化のレベルを上回って生じた変化を生み出したと考えられます。

定義の問題も重要ですが、SIBに関わらず、広義のソーシャルファイナンスが日本において、広く普及するためには、様々な観点が必要になってくるのではないかと考えています。

例えば、ビジネス的(営業的)観点からすれば、社会的インパクトに重点を置く投資家がいると仮定した際にも、単純に営利を目的にした民間企業(彼らも、雇用を生み、サービスを提供するなど、何らかの社会的インパクトを提供しています)と、社会的課題の解決を目的(意図)とした企業や団体のどちらが、社会的インパクトを生み出しているのかという、エビデンスが絶対的に不足しているように感じます。

社会的インパクトに重点を置く投資家がいたとした場合、彼、彼女らに訴求するには、社会的インパクトを意図した投資が実際に、インパクトを生むのかというのは非常に重要なテーマです。

Social Impact Actでは、広く社会的課題やソーシャルインパクトを意図した取り組みや、そのツールとしてソーシャルファイナンスについても引き続き紹介していきます。


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