今回のテーマは不平等と公正です。
こちらSDGs目標の10番や16番にもなっている概念の一つです。
不平等と公正を考える上で、是非参照してもらいたい書籍は下記となります。
「不平等を考える ──政治理論入門 (ちくま新書)」(齋藤純一)
「不平等の再検討――潜在能力と自由 (岩波現代文庫)」(アマルティア・セン)
アマルティア・センさんはノーベル賞を受賞しており、貧困のテーマでも度々登場する方ですね。
まず、齋藤純一は書籍の中で、不平等とは?という問いを設定しています。
その中で、導入として代表的な論点というよりは、書籍の設定として下記を記述しています
・「平等」は「同じである」ことを意味しない
⇒性別、能力、才能など違いがあることは当然
・そして「違い」が、社会の制度や慣行のもとで、有利・不利の違いへと変換されることがある
⇒これも直ちに不当ということではない、能力などにより結果が変わること自体を許容する考えは、一般にも許容されることも多い
・しかし、それらの社会の制度や慣行のもとで「値しない不利」(ふさわしくない、もしくは不当である)不利がもたらせることがある
⇒例えば、本来才能豊かであるにも関わらず、生まれが原因で、機会を限定されてしまっているなど
⇒こうした状況を不平等として設定しています。
不平等の定義は多様ですが、論点整理として参考になるのではないでしょうか?
平等を上記のように認識した際に、不当な状況は避けるべきでしょうが、では平等とは、何の平等か?という問いがあるかと思います。
そうした問いに対して参考になるのが、アマルティア・センの「不平等の再検討」となります。
論点を箇条書きにしますと
・なんの平等か?
⇒結果の平等か、機会の平等か、潜在能力、権利、自由の平等?色々な平等がある
⇒平等を語る際に、なんの平等かは、重要な問いとなる
また書籍の中で、「反平等主義者とされる人達も、自らが重要と考える変数に関しては平等主義とも言える」とうい趣旨の記述があり、これは納得する部分が多いように感じます
⇒例えば、自由を重んじるリバタリアン的な考え方も、一般的に反平等主義的なニュアンスで語られることもあるが、自由の機会という意味では平等主義と言える意味もあるのです
平等や公正を考える際に、社会の制度や慣行のもとで、「値しない(不当な)不利」とは何か?また、なんの平等を重視し議論しているのか?を考えてみることは重要なのかもしれませんね。
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