Social Impact Act

2017年2月24日

途上国におけるBOPビジネスの可能性と留意点

最終更新: 2020年8月5日

『現地に寄り添うアジアビジネスの教科書

〜市場の特徴から「BOPビジネス」の可能性まで〜』

Social Impact Actでは途上国の課題やそれを解決する社会的企業の取り組みなどを紹介してきました。

途上国の世界で約40億人、全人口の役7割をカバーしていると言われている、年間3000ドル以下で生活する層をターゲットにしたビジネスがBOP(ベース・オブ・ピラミッド)ビジネスです。

今回は、そんなBOPビジネスの基本について紹介されている、『現地に寄り添うアジアビジネスの教科書〜市場の特徴から「BOPビジネス」の可能性まで〜』という書籍を紹介します。

実際に、途上国ビジネスやBOPビジネスなどに興味がある方は実際に手に取られてみてはいかがでしょうか?

BOPビジネス

BOP層を対象とするビジネスが、BOPビジネスですが、必ずしも、BOP層のみを対象とするとは限りません。

そのためん、BOPビジネスは「インクルーシブ(包括的)ビジネス」と呼ばれることもあります。

BOPビジネスが特に注目される契機となったのが、2004年のプラハラードの『ネクストメーケット〜The Fortune at the Bottom of the Pyramid〜(原題)』です。

また、2005年には、スチュアートハートの『未来を作る資本主義〜Capitalism at the Crossroads〜(原題)』などでいわゆる、単なる「小分け」ビジネスではなく、BOP層を企業活動のバリューチェンにおいて、生産者、販売者といった幅広い領域で取り込み、彼らとともに、市場を共創していこうという視点が提示されることとなりました。

その後、リーマンショックやサブプライムローン問題を契機とした金融危機も、先進国におけるリスクの考え方の変革からも、途上国でのBOPビジネスは注目されることとなりました。

BOPビジネス成功で必要な留意点

BOPビジネスでは、様々な成功例が紹介されている一方で、失敗例も多くあり、下記の留意が必要だとしています。

①収入が低く不安定:南アジアで6割、東南アジアで5割がインフォーマルセクターで就労していると言われています

②居住環境の制約:24時間の電力供給が困難

③教育水準、知識、スキル制約:生産者、流通者、販売者としてBOP層を巻き込む場合、職業訓練が必須

④届きにくいサービス:「市場情報の不足」「規制環境の不備」「金融の未発達」

⑤濃密なコミュニティの人間関係:BOPビジネスでの成功要因として、信頼する人による口コミ

BOPビジネスの資金の獲得方法

BOPビジネス展開における資金の獲得方法には、最近ではクラウドファンディングや従来型の資金調達など、様々な手段がありますが、著書では特に、以下の3点が紹介されています。

①援助機関の支援制度を活用して事業化段階の支援を得る:JICA、JETRO等々

②インパクト投資家からの出資を受ける:データベースも合わせて参照ください

③CSR資金を活用する:民間企業のCSR資金へのアクセス

今回は、そんなBOPビジネスの基本について紹介されている、『現地に寄り添うアジアビジネスの教科書〜市場の特徴から「BOPビジネス」の可能性まで〜』という書籍を紹介しました。

著書では、その他にもBOPビジネスの事業上のボトルネックと解決方法や、BOP層のセグメント別の特徴なども紹介されています。

興味を持たれた方は、是非、一度手にとってみてください。

引き続き、社会的インパクトを意図した関連領域について紹介していきます。

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