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ソーシャルインパクトボンド(SIB)の可能性と課題

最終更新: 2019年7月3日


『ソーシャルインパクト・ボンドとは何か』

今回は、『ソーシャルインパクト・ボンドとは何か』という書籍を紹介します。以前も一度紹介させて頂きました。

ソーシャルインパクトボンドの基本事項や、事例やスキームについて幅広く紹介されている良書です。

広く、ソーシャルファイナンスやSIBに関心を持たれてる方は本屋などで手にとって見てはいかがでしょうか?

ソーシャルインパクト・ボンドの可能性

本Webでも投資に経済的リターンだけではなく、社会的リターンを求める社会的責任投資やESG投資、インパクト投資など、関連する機関や取り組みについて紹介してきました。

ソーシャルインパクトボンドも広く捉えるとソーシャルファイナンスの一部と見ることもできます。

広くソーシャルファイナンス自体は、GSIAの調査によると、2012年の13.3兆ドルから2014年には21.4兆どると61%の急成長を遂げています。(全運用資産に対する割合も21.5%から30.2%に拡大していると報告されています)

そうした背景からも、ソーシャルインパクトボンドの取り組みにも注目が集まっており、ノーベル経済学者のロボートなどもSIBのスキームが金融分野のイノベーションであると述べています。

また、社会的アウトカムを向上されるような予防的活動に対する資金調達が拡大して行くのではないかという観点からも注目されています。

予防的活動に対する資金調達の分野は、ソーシャルファイナンスの領域とは直接的には関係がありませんが、欧米を中心に、例えば南アフリカのディスカバリーなどの保険会社も予防的活動(ジムに行く、健康診断を受ける)などに対して、ポイントを付与するなど、予防的活動に対して金融機関が様々な取り組みを行っています。

そもそもソーシャルインパクトボンドとは何かについては、こちらも合わせて参照してみてください、「ソーシャルインパクトボンド(SIB)は市民権を得るのか?」


『ソーシャルインパクト・ボンドの課題

SIBは様々な観点から注目されている一方で、いくつかの課題もあります。

その一部を、SIBの名付け親とも言えるマルガンも以下の重要な課題をしてきしています

第1に、SIBは、エビデンス・ベースという点ではまだ弱点を抱えており、そのことが資金供給を受ける介入サービスやその実施団体のリスクを判断したい投資家や金融機関が慎重となる原因となっている。

第2に、既存のサービスや財政支出との重複である。SIBのターゲットグループは、既に既存の公的サービスを受けているケースも多い。その場合、SIBの介入とアウトカムとの因果関係の証明は困難となり、契約や評価手法が複雑化するという課題が生じうる。

第3に、規模と取引コストの問題である。PFIでさえ、2,500万ポンドを下回るスキームは、その取引コストを考慮すると経済的ではないとみなされている。SIBの多くは、PFI※と比べ、かなり小規模であるので、取引コストの問題はさらに深刻である。 (Malugan,2015:56)

『ソーシャルインパクト・ボンドとは何か』より引用

※PFIとは、Private Finance Initiative(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)の略で、公共施設等の建設・維持管理・運営等を民間部門(プライベート)の持つ経営ノウハウや資金(ファイナンス)を活用することで、低廉かつ良質な公共サービスを提供することを目的とした新しい公共事業の手法です。1992年に英国で導入され、日本では1999年に「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」(PFI法)が制定され、本格的に導入がはじまりました。

その特徴は、公共部門と民間部門の役割の見直しにあります。従来の公共事業では、公共部門が事業の計画立案から執行までのすべての活動を主体的に行っています。一方、PFIは、計画立案および監視機能を公共部門が担い、実施(設計・建設・維持管理・運営)についてはできるだけ民間に任せます。

「京都府ホームページ」http://www.pref.kyoto.jp/sisan/p-pfitoha.htmlより引用

また、株式投資の場合は、企業のデフォルトリスク等で元本が0になることもありますが、ソーシャルインパクトボンドと呼ぶと、当初、元本の返済義務がある、何らかしらのボンド(債券)のことかと想像してしまいます。

ただし、SIBにおいても、設定されたアウトカムの水準が達成なければ、元本割れのリスクがありうります。SIBの普及と直接的な関係性があるかどうかは定かではありませんが、誤解を生みやすいのは確かなように思われます。

『ソーシャルインパクト・ボンドとは何か』の中で、SIBはPbR(Payment by result):成果報酬体系あるいは成果報酬型契約の一種とも言えるという表現があります。

SIBは金融商品の一部であることは間違いないのですが、ある一定の条件(アウトカム)が満たされた場合に契約内容が履行されるという意味では、ソーシャルインパクトコントラクトの方がしっくりくる気さえします。

ただ、アメリカでも「Pay for Success Bond」やオーストラリアでも「Social Benefit Bond」という名前で呼ばれるという事例も紹介されており、ボンドが一般的な呼び名となっています。

※起源については様々な見方があるかと思いますが、2000年にニュージーランドのホレシュの「Social Policy Bond」を紹介しています。

今回は、ソーシャルファイナンスの一種である、ソーシャルインパクトボンドについて紹介しました。

Social Impact Actでは、広く社会的課題やソーシャルインパクトを意図した取り組みや、そのツールとしてソーシャルファイナンスについても引き続き紹介していきます。

ソーシャルインパクトボンドについては、従来の官民連携との違いなどについても、紹介していきます。

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