検索
  • Social Impact Act

行動経済学から見たCSV設計~経済的価値と社会的価値の両立に向けたインセンティブ~


SIAの今井です。

今回は行動経済学とCSVについてです。

行動経済学とは

2017年、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授がノーベル賞を受賞したことで、改めて行動経済学に注目が集まりました。

行動経済学は、人間は感情で動く生き物であり、時に非合理的な行動を選択してしまうという前提の上で、社会現象や経済行動を人間行動を観察することで説明しようとする経済学の一つです。

新古典派の経済モデルのほとんどは、人間は合理的という仮定の上で成り立つ、数理モデルが多いですが、その限界性はかねてより指摘されており、余剰分析等のアンチテーゼ?として厚生経済学、合理性の成約を外した行動経済学などは、相対的には新しい分野と言えます。

ただ、人間の合理性を前提にしているということは、前提が間違っているから、新古典派の経済モデルのほとんどは意味がないという批判する人もいますが、何か法則や洞察を得るために一定の仮定をおいて、その上でというのは経済学に限らずよくある話です。

行動経済学とゲーム理論

関連するトピックとして、行動経済学の知見を、実証などにも用いられるゲーム理論などは、ビジネスの現場でも役に立つ洞察が得られます。

例えば、囚人のジレンマ:お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、というジレンマ、などは有名ですが。

その他にも、例えば、よく家電量販店などで、「他社で自社よりも安い商品があれば、値引きします!」という広告やアナウンスがあります。

これは、消費者思いな会社だなと思われる方もいるかもしれませんが(実際にそういう側面もありますが)ゲーム理論的には、競合他社との消耗する価格競争に終止符を打つための戦略的な情報開示と受け取ることもできます。

行動経済学とCSV

今回のメイントピックは行動経済学×CSVですが、CSVとは、ビジネスを通じた社会課題の解決などと言われることもありますが、経済的価値と社会的価値の両立とも読み取れます。

ハーバードビジネスレビューなどでの紹介や政府の後押しなどもあり、近年、CSVは注目を浴びており、別途、経営しているブティックファームのライフドラムラボでも支援領域の一つです。

今まで、経済的価値に結びつかなかったが、価値のある取り組みや事業をビジネスというツールでスケールさせたり、継続させるということは大きい意味を持ちます。

ただし、全ての領域でCSVが適応できるはけではないと認識しています。

経済的価値と社会的価値の無理な統合

例えば、行動経済学の権威のダン・アリエリー教授(NHKの白熱教室などでもでていました)、「社会的世界」と「金銭的世界」の分断の話があります。

・あるとても親しい人に対して、隣の町まで車で連れていってと頼む

⇒喜んで引き受ける

・タクシー代と同じ料金払うので、隣の町まで車で連れていってと頼む

⇒引き受けない(もしくは、嫌々引き受ける?)

前者では、もともとは、隣町まで届けようと思っていたのに、経済的価値をそこに無理に紐づけたために、隣町にいけないかもしれませんし、また信頼関係が揺らいでしまうかもしれません。

適合領域の特定と適切なインセンティブ設計

タクシーの事例からも、無理に経済的価値に紐づけるべきではない領域があるということは明らかです。

一方で、逆に、本当は価値を認められるもので、しかも経済的価値と紐づけることで、よりスケールする事例などもあります。例えば、途上国でのグラミン銀行などはそうした事例の一つかもしれません

CSVの推進には、適合する領域かの判断が必要です。

また、同時に適切なインセンティブ設計が重要となります、タクシーの事例も上手くビジネスモデルやインセンティブ設計を行うことで、よりスムーズに隣の町まで車で運んでもらえるかもしれません。

インセンティブ設計の重要性を表す事例として、「図書館の返却期限を守らない人がいる、これを改善する為に、罰金を支払わせる」という施策を実施されたことがありました、結果は「返却期限を守らない人が増えた」そうです。

罰金(料金)を支払うという免罪符を得て、より、期限内に返却するインセンティブが希薄になってしまった事例です。

適切な適合領域の見極めや、戦略的なインセンティブ・ビジネスモデル設計により、CSVが推進されることが期待されます。

引き続き、CSV等、関連トピックについても紹介していきます。


#CSV #コンサル #行動経済学 #ゲーム理論 #経営戦略

メルマガ登録はこちら