コレクティブ・インパクトとは?
SIAの今井です。
今回のトピックは、コレクティブ・インパクトについてです。
といいますのも、「ハーバード・ビジネス・レビュー(2019年2月号)」のテーマがコレクティブ・インパクトでした、ご関心をお持ちの方は是非。
コレクティブ・インパクトについては、ソーシャル・インパクト・アクトでも度々、紹介してきました。概要については、「コレクティブインパクトとは?セクターの垣根をこえた社会課題の解決への挑戦〜Integrity Actionの事例〜」などもご参照ください。
そちらの記事でも紹介していますが、コレクティブインパクトには、5つの必要要素があるとされています。
・Common Agenda(共通のアジェンダ):
インパクトに向けた、ビジョン、社会課題、社会課題解決のアプローチに対する共通認識、共通理解を
・Shared Measurement System(共通評価の仕組み)
取り組み全体と取り組みを評価するシステムを共有
・Mutually Reinforcing Activities(相互強化の活動)
参加者が相互にそれぞれのアクションプランを実行、強化すること仕組みやインセンティブ
・Continuous Communication(継続的なコミュニケーション)
信頼の構築や功績の公平な評価、意思決定の妥当性などについて、継続的なコミュニケーションの実施
・Backbone Support Organization(バックボーン組織)
コレクティブインパクトを推進する支援組織(FSGなどコンサル会社、メンター・コーチなど)
コレクティブ・インパクトが必要な理由
コレクティブ・インパクトが注目された背景としては
「そもそも社会課題を解決するためにはどうしたらいいのか?」
「社会課題の多くは、様々な問題が複雑に絡まりあう複雑系の問題」
「そのため、一つのプレイヤーの活動だけでは解決されない可能性が高く、社会システムそのものの問題に起因することも多い」
「そうであるならば、多様なプレイヤーが共通のアジェンダを持ち、コミットメントを行い、相互補完的に活動していくことが求められる」
⇒そのためにはどうしたらいいのか? という具体的な知見やノウハウを、プレイヤー、コンサルティング会社や学者などなどが様々な観点で、研究・実践をしており、成果や課題もみえてきています。
コレクティブ・インパクトの必要性についての議論よりも、むしろどうしたら効率的に実行できるのか?または、実際のインパクトを生み出す際に感じる課題についての方が価値があるかと思いそちらについて紹介します。
(実際にいくつかプロジェクトを企画したり、支援したりする際に感じる完全に個人的な所感です。大前提としてコレクティブ・インパクトは必要だと思っていますので、悪しからず。)
コレクティブ・インパクトの補足と、運営上のポイント
■共通のアジェンダは設定できても、その登り方で分裂しがち
⇒例えば、「貧困対策」「教育問題」なんでもいいわけですが、特に社会課題において、SDGsなどもそうですが、共通の「アジェンダ設定」での合意は得やすい。
⇒問題は、その実現の仕方で意見が割れることが往々にしておき得ます。
山に登ることは合意してもその登り方は多様だからです。
■その為、コレクティブ・インパクトの必要事項として、「共通の評価システム」を掲げています
⇒予め、プロジェクトの進捗や判断基準などについて、予め合意しておくということです。
⇒問題は、山を登っていく過程で、当初想定していた評価システムが適さないのではないか?という疑念が生まれ来ることです。これはテクノロジーの進化や、社会の変化などによってもたらされます。
⇒そうであれば、「共通の評価システム」を柔軟に変えれば?となるかもしれませんが、一度変えだすときりがないという状況をよく目にします
■そこで、コレクティブ・インパクトの必要事項として、「継続的なコミュニケーション」も掲げています
⇒こうしてみてみていくと、下記は特にポイントだと思料します。
・アジェンダだけでなく、山の登り方をプレイヤー間で適切に合意をとる為の知見やコミュニケーション、仕組みづくり
・変化に強い「共通の評価指標・システム」の開発
後者については、ある程度標準化・注意点などを明確にできる意味はありますが、前者については言うは易しとも言えそうです。
概要については、動画でも解説していますので、是非!
別途、経営しているファーム(KI Strategy Inc.)でも関連領域のご支援も実施しています。ご関心をお持ちの方はお気軽にお問合せください。
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