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開発領域で活躍する米学者がノーベル経済学賞を受賞、RCTの普及と課題

2019年ノーベル経済学賞は、世界の貧困削減への実験的アプローチで、MITエステル・デュフロ教授とアビジット・バナジー教授、ハーバード大マイケル・クレマー教授に授与。RCT(ランダム化比較試験)の開発経済学への普及と、その課題・限界を整理する。

開発領域で活躍する米学者がノーベル経済学賞を受賞
FIG. 01 / 開発領域で活躍する米学者がノーベル経済学賞を受賞PHOTOGRAPHY / ARCHIVE

スウェーデン王立科学アカデミーは10月14日、今年のノーベル経済学賞をマサチューセッツ工科大学(MIT)のエステル・デュフロ教授とアビジット・バナジー教授、ハーバード大学のマイケル・クレマー教授に授与すると発表しました。

ソーシャルインパクトや、途上国の開発領域では、既に慣れしんだ、 ランダム化比較試験(RCT) での実績が評価されたものです。

具体的には、「就学率向上に向けた低コストの施策(寄生虫駆除剤)」「学習支援において重点すべきターゲットの明確化」「低コストの就学率向上に向けた施策(親との情報共有)」などの成果を科学的評価に基づいて実施しています。

RCTについて知りたいという方は、下記の記事なども参考にしてみてください。

社会的インパクトの企業における価値の測定についてSDGsやCSRを推進する上で注意点としての「擬似相関」についてソーシャルインパクトにおける”擬相関”と”因果関係”シンプソンパラドックスとは?

RCTの画期的な点は、今まで、善意や感情で行われがちだった、開発支援の領域において、科学的な手法で評価するということです。

もちろん、課題がないわけではなく、そうした論点は下記などにも整理しています。 ・社会的インパクト測定におけるBefore AfterとWith Without、RCTと産業連関表について

RCTは、もともと優れた手法ですが、ノーベル賞を受賞したことでの”箔”もつき、開発支援領域において、よりスタンダードな手法となっていく可能性が高いかもしれません。

今後の展開としては、いかに低コストで、RCTを実現できるか? そうした知見も多く蓄積されてきましたが、より汎用的なツールが求められているかもしれません。

RCT自体は、開発支援だけでなく、ビジネスにおいても適応可能な手法です。 エンゲージメント調査、インパクト評価、ブランドブランド施策調査、A/Bテストなども近しい考え方です。

そうした、プロジェクトの設計などが必要な方も、お気軽にお問合せもらえればと思います。

※別途、社会的インパクト評価やサステナビリティー領域のアウトカムの測定のための設計支援はブティックファームのKI Strategyでも実施しています。お気軽にお問合せください。

※若干蛇足感もりますが、開発経済などに関心をお持ちの方は下記などの書籍なども参考にしてみてください。

『ストーリーで学ぶ開発経済』とは

この書籍は、「発展途上国の問題に関心を持ってもらい、その関心が学問として開発経済学への興味につながって欲しいという思い」から黒澤先生と栗田先生が、執筆されたものです。

発展途上国の現状(統計データ)に加え、仮想のアスー国という途上国で暮らす人々の生活の物語を通じて、開発経済学を学べるような構成となっています。

ストーリーで学ぶ開発経済学』の内容を一部抜粋して紹介します。

途上国の現状とは

・2014年度の世銀『世界開発報告』、一人当たり国民所得が低い順に低所得国、下位中所得国、上位中所得国、上位中所得国、高所得国に分類しています。

・低所得国:ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ウガンダ等、32カ国

・下位中所得国:ベトナム、インド、ガーナ等、33カ国

・上位中所得国:タイ、ブラジル、南ア等、33カ国

・低所得国の24/32、下位中所得国の11/33がアフリカ。

・低所得国(約8.5億)、下位中所得国(約25億)で地球全体の人口の約半分に達します。

・低所得国は、年間平均所得(584ドル)で先進国の1.55%、物価が考慮されたPPP換算で、年間平均所得(1387ドル)で先進国の3.67%にとどまる。下位中所得国でもPPP換算で、先進国の10.4%という状況。

・途上国では、雇用に占める農業比率が高く、経済発展に浮いて、製造業などの第二次産業、サービス業などの第三次産業が伸びていくことをペティークラークの法則という。

・著者の黒澤氏も参加されているFAIでも「金融サービスは貧困世帯生活向上の鍵を握るツールです。しかしどうすれば最も金融サービスを必要とする人々に最も効果的にサービスを届けれられるのか、まだ答えは出ていません」と総括されています。

→ただし、してはいけないこと(下記等)は、経験や理論や実証研究からよく分かってきました。

・政府による公的信用供与

・強制的な農村金融機関創設政策

これらの失敗から、一時脚光を浴びたのが、オハイオ州立大グルールを中心とした農村金融論。(途上国の農村信用市場は、資源の機会費用の高さを反映したもの、よって政策による、低利信用付与は逆効果、金融自由化を通じて、市場の調整量や農民の合理性を活用すべきという考えかた)

→ただし、サブサハラアフリカなどでは、単なる農業金融自由化(農村金融論)はあまり成功しませでした。

・途上国への先進諸国の銀行のプレゼンスの急増、途上国における外銀シェア(95年、24%→2009年46%)

・UNESCO(2015)によると、2012年時点で学校に通っていない児童は5800万、そのうち1300万は何らかの理由で退学しています。

・ILOの推計では、2012年時点で、世界中の児童労働は(1.68億人)で全世界の子供の10.6%に及ぶとされます。

・UN Habitat 2012の累計によると、2010年時点で途上国の都市人口の3割近く(8.28億)がスラム居住で日本の人口の約7倍と推計されています。

Truly sustainable economic development: Ernesto Sirolli at TEDx

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