Social Impact Act
2017年7月21日
最終更新: 2019年7月3日
CSV経営戦略
マイケルE.ポーターの「共通価値の戦略」がハーバードビジネスレビューに掲載されたのが、2011年6月と、今から6年前の内容ですが、現在読んでもとても参考になります。
ポータ氏は、既存のいわゆるCSR(企業の社会的責任)に対しては懐疑的なスタンスをとっており、論文の中でもCSRに対しては、下記の認識を表明しています。
・CSRプログラムーこれは外圧を受けた結果であるーの多くは、企業の評判を高めるためのもので、言わば必要経費と考えられている。株主の金を無駄遣いしているだけであると見る向きも多い
・ほとんどの企業はいまなおCSR(企業の社会的責任)という考え方にとらわれている。
2011年論文より、そのまま引用
CSRに対して否定的な考えを持つ根拠の一つとしてあげられているのは、例えば2008年に起きたリーマンショックなどについても、アメリカの金融機関が慈善活動やCSR活動などを行なっていなかったかと言えば、そんなことはなく、様々なプロジェクトや活動を実施しており、社会的責任を果たしていると表明してきました。
その一方で、持続性の乏しいローン商品を販売してきた結果として、リーマンショックなどが発生したと。
リーマンショックは一例にすぎませんが、企業の社会的責任(CSR)ではなく、いかに、本業を通じた、共通価値を創造するかにフォーカスを当てるべきという主張です。
また、関連して、フェアトレードなどについても、単に同じ作物に高い価格を支払うことで農民の手取り額を増やすことは、気高い動機だとしながらも、それは主に所得の再配分であり、ポーター氏の提唱する「共通価値」では、農民の能率、持続可能性、育成技術の改善、サプライヤーなど支援者の地域クラスターの強化が重視されるとしています。
論文の中で、ポーター氏は度々、クラスターの重要性を主張しています。それは自己完結できる企業など存在しないという前提もありますが、シリコンバレーのベンチャー企業群や、ケニアの切り花、インドのダイヤモンド加工など、地域社会の中でのクラスターやエコシステムの形成が重要だと主張しています。
繰り返しになりますが、論文は、2011年6月と、今から6年前の内容ですが、現在読んでもとても参考になります。興味を持たれた方は、是非、原文に当たってみてください。
参考図書