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東洋経済CSRセミナー開催〜CSRと企業価値の関係〜


第10回東洋経済CSRセミナー

「CSRデータの分析から見えてくる企業の本当の姿」開催

2017/03/30 (木)東洋経済新報社において、第10回東洋経済CSRセミナー「CSRデータの分析から見えてくる企業の本当の姿」が開催されました。

CSRデータを中心とする非財務データは国内外とも年々開示量が増えてきています。

東京工業大学の永田京子准教授に国内・海外で進むCSRデータ(非財務データ)の研究について、その代表的な成果とご自身の最近の研究内容について発表がありました。

今回はその内容について抜粋して紹介します。

CSRは企業価値の向上に寄与するのか?

Margolis et al.(2007)やPeloza(2009)の研究では、CSRと企業価値には正の相関が発表されました。

(※このセミナーにおける企業価値=時価総額という前提での議論)

その一方で、CSRはむしろ企業価値を低下させるという「エージェンシー問題」についても紹介されました。その前提としては、CSRは追加のコストがかかるものという前提の上で、成果を測るためにはコストがかかる。また、成果や責任が不明確であれば、CSRの支出が正当化され、や責任が不明確なためエージェンシーコストが増加する。

→そのため、CSRは企業価値を低下させるというものです。

企業価値とはそもそも何か?という文脈において、時価総額と比較することが適切なのかや、エージェンシーコストの多寡については議論があるところだと思います。いずれにしても企業においてCSRを実施する際に、いかにエージェンシーコストを抑えるかということは重要な観点です。

外国人株主の存在とCSRの関係

東京工業大学の永田京子准教授の研究によって、以下の関係があるのではないかと紹介されました。

「外国人株主の割合の高い企業ポートフォリオでは、CSR実施度合いが高いほど企業価値も高くなる傾向」

「外国人株主の割合の低い企業ポートフォリオでは、CSR実施度合いと企業価値の関係性がみられない」

というものです。

※「CSR実施度合い」はまさに、東洋経済新報社が実施している「CSRスコア」を利用されています。「CSRスコア」については「東洋経済「CSRランキング」とは?ランキングを上げるには?」を参照ください。

非常に示唆に富む研究です。

編集長が感じた、留意点としては、「企業価値:時価総額」はある時点での情報ということです。

株式市場においてCSRの取り組みの影響は微細だとするならば、寧ろ、測定前後の金融政策や企業のIRの影響の方が大きいのではないか?ということです。

極端な例かもしれませんが、例えば、円安為替介入後の時点で「企業価値:時価総額」を測定すれば、輸出企業の時価総額が上振れて計測されそうです。

(時価総額は3ヶ月平均などで測定すればこの問題はクリアされそうですが)

また、「CSRスコア」自体が、全業種や業界を統一した指標のため(そのメリットもありますが)、比較対象として、適切なのか?などの議論は当然あることかと思います。

いずれにしても、CSRデータなどの非財務データと企業価値の関係は奥が深く、引き続き紹介していきます。


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