SIAの今井です。 この連載は、社会的インパクトをいかに評価していけばいいか、模索している企業担当者やIR、経営者などに向けて記載しています。 実際苦労している方が多いらしく、SIAの運営会社のKI Strategyでは、そうした担当者と共に、色々検討してきました。 そこでのポイントや論点などを連載形式で掲載していきます。 第何話で終わるかは分かりません笑 まだ、第一話を読んでいない方はこちらの記事を参照ください。 「【第一話】企業の社会的インパクトを如何に測定し公開していくべきか?」 忙しくて読みたくない人向けに第一話のポイントだけ記載しますと、下記です。 ・社会的インパクトとは、「企業や団体が社会に及ぼす、短期的・中長期的な影響のこと ・社会的インパクトには「正のインパクト」もあれば「負のインパクト」もある ・ただし、絶対的に社会にいいというものは存在しえない ・絶対的なものはなくても、よくない社会かや解決すべき課題かを判断するツールとして”無知のベール”が有名 その上で、いい社会なのか、それともよくない社会かや、解決すべき課題かどうかを判定する際に、賛同する人が多いかで判断するという単純多数決の概念が出てきました。なので、今回は、社会的インパクトにも関わってくる多数決や投票という概念についてです!
いい社会かどうかを判定する仕組みとして「選挙」というものがあります。
選挙はとても画期的な仕組みの一つともいえます。今では当たり前ですが、一昔前は、お金の多寡や、性別などで選挙権に制限がかけられていたりしたわけですから。
まず、選挙制度を批判するつもりはないのですが、社会課題を解決するための、最適な投票システムはなんでしょうか? 思考実験としても考えてみましょう。
例えば、難病について考えてみましょうか。難病への投資と、みんなの少しの生活改善の政策、どちらに票が流れていくでしょうか? 単純多数決の場合は、みんなの少しの生活改善に流れていくでしょう。
他にも、例えば、温暖化問題で沈没の危機に瀕している島があったとしましょう。ただ、他の国ではほとんど影響ない場合、単純多数決では彼らの主張は通らなかったりするかもしれません。
こうしてみていくと、実は、単純多数決って、社会課題を解決するための最適な投票システムなのか?という問いが生まれるかもしれません。
ここで登場する概念として、個人の効用を勘案するという方法があります。
効用とかいうと意味なく難しくしている気もするので、単に賛成・反対ではなく、「すごく賛成」や「すごく反対で」いうことを表明出来るという多数決はどうでしょう、ということです。 例えば、100人の村があったとして、「51人のどうでもいいけど少しだけAという村人」と、「49人の絶対Bという村人」が、その場でなんの交渉などなしに単純多数決すれば、Aが決まるわけですが。Bを選択する方が“いい社会”のような気もします。 先ほどの難病などの例などにすると、絶対数は設計次第ですが、難病への投資を、すごく賛成に1000ポイントまで投票できた場合。他の一般の人が、少しの生活改善であれば、平均1ポイントしか投票しないのであれば、1000人が同じ方向を向くのと同じインパクトを反映させることが可能です。 こういうことを書くと、単に、少数意見に耳を傾けるのね!といって解釈されてしまうかもしれませんが、対象人数も非常に重要な概念です。穿った見方をしなければ、多くの人が苦しんでいる課題を解決することは、一人の課題よりも、社会的インパクトが大きいと考えるのが普通だからです。 多数決から始まった今回ですが、結局なにが言いたいかというと、社会的インパクトの評価をする際には、「対象の人数(範囲)」ということ同時に、「その課題の深さ」も非常に重要になってくるということです。 ふむふむ、対象人数とその課題の深さを評価すればいいと思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。 対象人数は、比較的分かりやすいと思うかもしれませんが、ここにも注意点が必要なので、それは第三話の話題として。また、深さの方は、第四話以降の何処かで回収していきたいと思います。
社会的インパクト評価における第二話のポイントは下記です
・社会的課題の解決では、必ずしも、単純多数決が最適な制度設計とは言えない
・また、社会的インパクトの評価をする際には、「対象の人数(範囲)」ということ、同時に「その課題の深さ」も非常に重要になってくる
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