ミッシングミドルとは
今回は、発展途上国の開発経済などについての文献を読むとよく出てくる、ミッシングミドルについてです。
ミッシングミドルとは、金融サービスにアクセスできない中間層のことを言います。
発展途上国でよく見られる、マイクロファイナンスでは金額の規模が小さすぎ、大手企業が提供する商業銀行については、信用や金額感から利用できない層のことをミッシングミドルと呼びます。
ハーバードの研究※1にもあるように、一般的に、国の成熟度と、企業の大きさ、企業数には以下のような傾向があると言われます。
※1 https://www.hks.harvard.edu/centers/cid/programs/entrepreneurial-finance-lab-research-initiative/the-missing-middle
日本などの先進国では、ベンチャーや零細企業の数が少なく、中小企業の数が多くなり、東京証券取引所に上場しているような企業となると、一握りになるという、山なりの分布となります。
一方、発展途上国では、ベンチャーや家族経営などの零細企業は数多く存在する一方で、それらの企業の多くがミドル層に成長できていなく、谷を越えた一握りの企業が利益を独占しているという谷型の分布が見受けられるというものです。
ミッシングミドルは本当にいるのか?
こうした中、本当にミッシングミドルはいるのか?というChang-Tai Hsieh and Benjamin A. Olkenの「The Missing “Missing Middle”」という論文が議論を呼びました。
是非、原文にあたって見てください。
https://faculty.chicagobooth.edu/chang-tai.hsieh/research/missingmiddle.pdf
ポイントとなるのは、ミッシングミドルという層は、国によっても規模や状況が違うということ。
また、論文にもあるように、インドなどの例では、企業といっても、フォーマルな企業とインフォーマルの企業なのかで、企業の規模と数の関係は異なることなどがわかります。
ミッシングミドルに対する研究
ミッシングミドルに対する研究は、途上国において、どのような金融サービスを提供すべきなのかなど、国連をはじめとした、国際機関においても非常に重要な問題であるため、様々な観点から関連領域の研究がなされています。
そのうちのいくつかの研究を紹介します。
開発経済やBOPビジネス、ファイナンシャルインクルージョンなどに関わる方は是非、原文にあたってみてはいかがでしょうか?
今回は、開発経済領域で議論されている、「ミッシングミドル」について紹介しました。
引き続き、世界の社会的インパクトに関連した活動を行う企業とその取り組みや、ミッシングミドル向けの金融サービスについても紹介していきます。