環境省「脱炭素先行地域」(2025年度までに少なくとも100地域選定)、自治体GX、地域マイクログリッド、企業との協働事例から、地方拠点を持つ製造業・エネルギー・地域企業が、地域脱炭素にどう関わるかを担当者向けに取り上げる。
日本の脱炭素戦略は、長らく「企業単独の取り組み」と「国レベルの政策」の二層で議論されてきました。ところが、ここ数年で、自治体・地域単位での脱炭素化を加速する取り組みが、急速に存在感を増しています。
その中核が、環境省の「脱炭素先行地域」です。2030年度までに民生部門(家庭、業務その他)の電力消費に伴うCO2排出を実質ゼロにする地域を、少なくとも100地域選定する――という計画で、2022年から選定が開始され、2025年度までに目標達成が見込まれています。
ご支援先の地方拠点を持つ製造業、エネルギー会社、地域企業、不動産関連の担当者の方からも、
といったご相談を頂くようになっています。
以下では、地域脱炭素の全体像、脱炭素先行地域の制度、企業の地域連携、戦略の設計を取り上げます。
地域脱炭素ロードマップは、2021年6月に国・地方脱炭素実現会議で策定された、地域単位の脱炭素化の基本計画です。
主要な目標:
重点対策:
これらは、自治体・地域企業・住民・国の協働で進める設計です。
脱炭素先行地域は、
を実装する地域として、環境省が選定する仕組みです。
選定の流れ:
主要な事例:
これら先行地域では、自治体・地域企業・住民・大学・研究機関が連携して、地域単位の脱炭素実装が進んでいます。
重点対策加速化事業は、脱炭素先行地域以外の地域でも、重点対策(自家消費型太陽光、再エネ、省エネ、EV、地域住民への支援)を加速する補助事業です。
主要な対象:
担当者の方は、自社の地域拠点でこれら重点対策に該当する設備投資・取り組みがあれば、自治体経由で重点対策加速化事業の補助を活用できる可能性があります。
地域脱炭素の主要な手段の一つが、地域マイクログリッド・自立分散型エネルギーシステムです。
地域マイクログリッドの特徴:
主要な事例:
地域マイクログリッドは、
といった複数の便益を地域にもたらします。
地域脱炭素の中核プレイヤーは、自治体(都道府県、市町村)です。
自治体の主要な取り組み:
自治体の脱炭素能力は、規模・体制・地理的条件で大きく差があります。担当者の方は、自社の地域拠点が立地する自治体のレベルを把握し、連携の度合いを判断する必要があります。
企業が地域脱炭素に関わるパターンを、5つに取り上げます。
パターン①:自社拠点の脱炭素+地域への波及
自社拠点(工場、オフィス、店舗、データセンター)の脱炭素が、地域全体の脱炭素に貢献するパターン。例:
パターン②:自治体・地域企業との協働
自治体・地域電力会社・地域企業との直接的な協働。例:
パターン③:地域人材育成への投資
地域の脱炭素人材育成への投資。例:
パターン④:地域コミュニティとの対話
地域住民・NPO・コミュニティとの対話と協働。例:
パターン⑤:地域経済波及の戦略化
自社の事業活動が、地域経済に波及する効果の戦略化。例:
地域脱炭素は、Just Transition(公正な移行、弊社過去記事「公正な移行(Just Transition)の作り方」参照)と密接に繋がります。
接続の論点:
地域脱炭素の戦略を、Just Transitionの観点で組み立て直すことが、本物の移行設計につながります。
最後に、地域脱炭素戦略で、避けたいパターンを一つ。
サステナビリティー部・経営企画が東京の本社にあり、地域拠点(工場、営業所、店舗、研究所等)の脱炭素を、本社主導でトップダウンに進める、というアプローチには、構造的な限界があります。
地域には、
といった、本社からは見えにくい論点があります。
担当者の方には、
このあたりを、本社・地域拠点の双方向で組み立てることをおすすめします。
形だけ「全社で脱炭素」と発信するか、地域単位の現実を踏まえた本物の戦略を作るか。担当者の方の意識付けで、地域脱炭素戦略の質と地域社会との関係性は、確実に変わります。
【ご相談窓口】 弊社(株式会社KI Strategy)では、地域脱炭素戦略、自治体・地域企業との連携設計、脱炭素先行地域への参画、Just Transitionとの統合の伴走支援を実施しています(専門家プラットフォームSasla経由のご相談も可)。地域連携でお悩みの方は、お話を聞かせていただければと思います。
定額制 / サステナビリティ専門家プラットフォーム
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