『社会的責任投資の投資哲学とパフォーマンス』
今回は、『社会的責任投資の投資哲学とパフォーマンス』という書籍を紹介します。
この書籍は、社会的責任投資(SRI)の歴史や、投資パフォーマンスについて研究された内容が紹介されています。
社会的責任投資や、社会的インパクト投資やESG投資などに興味がある方は、実際に手に取られてみてはいかがでしょうか?
社会的責任投資の現状
2015年に世界最大の年金基金と言われる、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国際連合・責任投資原則(UN-PRI)への著名を表明したことで、日本においても社会的責任投資は大きな転機を迎えました。
SRIの歴史(特に欧州)を鑑みる際には、1760年にジョン・ウェスレーが説いた「金銭の使い方(The Use of Money)」が強い影響を与えています。
世界の市場規模については、Global Sustainable Investment Alliance(GSIA)が、7つの国と地域の関連団体のSustainable Investment Forum(SIF)と連携し、「2012 Global Sustainable Investment Review」を発表しました。
【2011/12/31時点(US$ Billion)】
・欧州:8,758
・北米:4,329
・アフリカ:229
・豪州:178
・アジア:64
・日本:10
※著書、図表1-1(p.12)と1-2(P.14)の整合性は不明
【SRIの投資手法】
SRIの投資手法には以下があります。
・ネガティブスクリーニング:アルコール、ギャンブル等を投資対象から除外する手法
・インテグレーション:投資の意思決定プロセスの中で、ESG要因分析を組み入れた手法
・株主行動:企業の経営者に対して、対話によりESG要因の改善を働きかける手法
・規範に基づくスクリーニング:国連グローバルコンパクトなどに定められた、人権、労働、環境に関する国際的な企業行動規範を投資の基準にする手法
・ベストインクラス:ポジティブスクリーニングの実施等
・テーマ投資:気候変動、水、環境などの社会問題に焦点を当てた投資手法
・インパクト投資:主に非上場企業を対象とした、社会課題の解決を図る投資
社会的責任投資(SRI)の投資パフォーマンス
社会的責任投資(SRI)の投資パフォーマンスについては、日本におけるSRIファンドとアクティブファンドの比較を行った結果、二つのファンド群の間に株式超過収益率に有意な差はみられないという結論としています。
ただし、この研究では、SRI銘柄のパフォーマンスに寄与するESG要因の分析は今後の研究課題としています。
今回は、『社会的責任投資の投資哲学とパフォーマンス』という書籍を紹介しました。
著書の中には、本記事で紹介した事項以外にも、欧州の国ごとのSRIの状況や歴史、インパクト投資についても紹介しています。
興味を持たれた方は、原文にあたってみてください。
引き続き、社会的インパクトを意図した企業やその取り組みについて紹介していきます。