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  • 執筆者の写真Social Impact Act

CSRの限界とCSVの経営戦略へ~責任から戦略へ~

更新日:2020年10月16日


CSRの限界とは

今回は、社会的課題をビジネスを通じて実現するというマイケルポーターが提唱するCSV(Creating Shared Value)についてフォーカスした、「CSV経営戦略」という書籍を紹介します。

関連領域に興味をお持ちの方は是非、手に取ってみてはいかがでしょうか?

著者は、著書の中で、CSRの限界性を指摘しています。

「CSRの限界はその言葉自体に端的に現れていると私は思う。「社会的責任」という言葉には、本来の事業活動に付随して義務的に行うものという印象がある。受け身のイメージだ。」

その限界性の中で、CSVという概念に注目しています。

そして、CSVを実現するためには、マイケルポーターが提唱しているように、3つのレバーがあり、CSV経営を実現には7つの要件があるとしています。

CSVを実現する三つのレバー

①次世代の製品・サービスの創造 社会問題の解決に役立つ次世代の製品・サービスの創造

②バリューチェン全体の生産性の改善 世界中に広がるバリューチェンの川上から川下までの全体の生産性を上げて、最適化、効率化することで、社会的価値を生み出す

③地域生態系の構築 事業を行う地域で、人材やサプライヤーを育成したり、インフラを整備したり、自然資源や市場の透明性を強化することなどを通じて、地域にこうけんするとともに強化な競争基盤を築く

CSV経営実現の7要件

①社会課題をどう捉えるか ②大義はあるか ③「ならでは」のひねりがあるか ④儲けの仕組みにどう変換するか ⑤誰をどう巻き込むか ⑥いかにスケールするか ⑦いかに持続的成長を実現するか

CSVに対する反論

また、著者自身はCSVを推進する立場にありますが、CSVに対するよくある反論なども紹介されています。

①コンセプト自体が新しいものではない。 後づけの理論などいらないというもの。

②社会価値と経済価値を両立させるのがCSVならば、最初から分けて議論する必要はないというもの。 あえて分けているのは、社会的価値と経済的価値がトレードオフの関係性にあるという、いわばアメリカ型資本主義のデジタルな考え方が根底にあるからだというもの。

→この批判の正当性はいろいろあるにしろ、確かに無意識的に、社会的価値と経済的価値の両立などは様々な局面で切り分けて議論してきました、意識してみると、そもそも分けているというのはどういう意図なのか?という観点は今までにない視点を提供してくれる批判かと思います。

③CSVを資本主義の免罪符に利用しているという反論である これは、「社会的インパクトを重視している人は何を重視しているのか?」の中で整理した、実質主義と形式主義の違いによるところも大きいと思われます。

ポーター:社会的価値をいかに測定するべきか

社会的価値の測定についてのポーター氏の見解も紹介されています。

ポーター「社会価値の測定に、これといった標準的な尺度があるわけではありません。なぜなら業種やその企業の戦略によって、社会価値にはいろいろな形態があるからです。カギとなるのは、社会価値の測定そのものではなく、社会価値と経済価値をいかに結びつけるかです。」

まさに、事業者としては、どのようにインパクトを評価すべきかという以前に、いかにして社会価値と経済価値をいかに結びつけるかが重要というポーター氏の意見は非常に参考になる点が多いように感じます。

関連領域で活動されている方は是非、原文にあたってみてください。


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