残り90%のためのデザインとは?
2007年にクーバーヒューイット国立デザイン博物館で開催された、世界各地のデザイナーが貧しい人々のニーズに応えるべく生まれたソリューションが展示されたもので、世界から注目を集めました。
今回は、途上国などをターゲットにしたデザインやプロジェクトを紹介した『世界を変えるデザイン2〜スラムに学ぶ生活空間のイノベーション〜』の内容の要旨を抜粋して紹介します。
そこで紹介されたデザインやソリューションの多くは、「大きな発見!」ではなく、ある特定の状況で理にかなう、多くのささやかなアイディアの紡ぎ合わせだとしています。
インクルーシブな都市デザイン
・従来プロのデザイナーは商品やサービスを購入する余裕のある世界人口10%にフォーカスして仕事をしてきた。
・デザインの定義は広がり、分野や組織(民間、公共、非営利など)の垣根を超えた協力によるプロジェクトが広がってきた。
・途上国のスラムの大部分は都市の土地を利用した形態となっている。
・セネガルにおける、都市デザインにおいて、最も重要なのは都市におけるフォーマルとインフォーマルの橋渡しをするソリューションの提供なのではないかという気づき(シンシア・スミス)
・インフォーマルな居住地の改善にまずすべきことは、状況把握。ナイロビのキベラスラムの住民の数を把握している人はいなかった。75万人〜100万人程度と誰もがいう。
・インフォーマルな居住地に誰がすみ、どのサービスが不足しているか把握することは、改善の第一歩。
・インフォーマルな居住地は独自の預金システムを形成しているところは多い、女性を中心に預金の目的の多くは「子供の教育を受けさせるため」という回答結果。
・都市化は一部で問題と捉えられるが、設計次第で貧困からの脱出路となりうる
SDIとは
・バラック/スラム住民インターナショナル(SDI)は3大陸にまたがるスラム住民グループの草の根ネットワーク組織
・SDIの役割はスラム住民たちの会員ネットワークの構築支援や行政担当者との協力
・土地保有権の確保や預金、クレジット共同組合の拡大
・SDIの経験では、預金・融資プログラムにおいて、女性の役割は大きい。男性支配地域ではあまり成功しなかった。また預金・融資プログラムではお金を集めるということと、人を集めていると考えている。お金、情報、コミュニケーションの管理は女性が実施している。
・預金通帳が連盟メンバーである証として機能している
今回は、『世界を変えるデザイン2〜スラムに学ぶ生活空間のイノベーション〜』で紹介されたインクルーシブな都市デザインとSDIの取り組みについて紹介しました。
『世界を変えるデザイン2』の内容は折をみて、改めて紹介します。
関心を持たれた方は是非、手にとってみてください。
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